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2019

4/11

【インプラント治療の問題】 この5年間に、国民生活センターに寄せられた相談数は409件

記事概要

独立行政法人 国民生活センターには、インプラント治療を受けた人からの相談が数々届いており、この5年間で約409件の相談が寄せられている事がわかっています。『インプラント治療により危害を生じた』という相談が、毎年60〜80件程度寄せられているというデータをうけ、その相談内容とインプラント治療後のトラブルを回避するための方法についてブログにまとめました。

インプラント

インプラント治療相談で最も多い相談は

インプラント治療とは、第三の永久歯とも呼ばれる通り、やむなく歯が抜けてしまった方々の救世主として登場した画期的な治療法です。失ってしまった歯の歯根部分に、チタン製の人工歯根を埋め、その上にセラミックの白い歯をかぶせます。人工歯根を埋める必要があるため、外科手術が必要な治療法ですが、それゆえに、手術後に思わぬトラブルを引き起こす場合があります。

実は、独立行政法人 国民生活センターには、インプラント治療を受けた人からの相談が数々届いており、この5年間で約409件の相談が寄せられている事がわかっています。
(参考記事:http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20190314_1.html

上記サイトの報告では、『インプラント治療により危害を生じた』という相談が、毎年60〜80件程度寄せられているとのことです。それでは、その相談内容について、少し詳しく見てみたいと思います。

まずは、相談者を治療金額別に回答を分類すると、治療費に50万円以上かかっている人が多く、その中でも46.3%の人は100万円以上の治療費がかかっている事がわかっています。

インプラント治療は、画期的な最先端治療であり、それゆえ医療保険の対象にはならず、自由診療となります。よって、複数本のインプラント治療を受けることになると、治療費が高額になる事が特徴的です。要するに、インプラント治療によるトラブルを抱える人の中には、高額な治療費をかけて治療を受けている人が多くいることが読み解けます。

さらに、インプラント治療における苦情の中身を見ていきたいと思います。
上記のアンケート結果では、口・口腔・歯の痛みや、インプラントのぐらつき、脱落、撤去が必要になってしまう、化膿などのトラブルが多く見られたとの事です。
また、これらの症状があった方々の半数以上は、1年〜3年も継続したという相談もあり、トラブルの長期化が明るみになっています。
インプラントトラブル

インプラント治療トラブルの原因

次に、これらインプラント治療のトラブルの原因について見ていきたいと思います。上記のサイトの中では、これらの消費者からの相談における問題点として、以下のようにまとめられています。(引用)1)治療前の全身状態が把握されていないことがある。
2)歯科医師のスキル、知識が十分でないことがある。
3)治療後の不具合への対応方法が不適切なことがある。
4)日頃の口腔清掃や定期検診が重要な理由を知らせていないことがある。
5)インプラント治療に関する専門的知識や技能を有する歯科医師が必要。

これらを分析すると、大きくは、患者さんの身体的影響が影響していることと、歯科医師側の説明が患者さんに十分伝わっていない事がおわかりになるかと思います。

特に、インプラント治療後、すぐにぐらついてしまったり、化膿してしまったりする場合には、もともと、インプラントを埋め込む部位の隣の歯に重度の歯周病があったり、顎の骨の状態が良好でなかったりする場合があります。

そのため、インプラント治療を受ける際には、必ず、全身状態を含め、周りの骨の状況、顎の骨の状況などを、多角的に診査・診断してから治療を開始する必要があります。

また、インプラント治療後は、定期的に歯の清掃が必要になります。これは、インプラント手術を受ける前に、必ずご了承いただかなければならない大事なお約束ごとです。歯ぐきに埋め込むインプラント体はチタン製で、身体に馴染みやすく副作用の起きにくい材質(生体親和性)ではありますが、異物であることには間違いありません。よって、ご自身の天然歯よりも、より丁寧にメインテナンスをおこなう必要があるのです。

これらの約束事をお守りいただかないと、重大なトラブルにみまわれます。その中でも大きなトラブル(問題)として、インプラント周囲炎があります。それでは、ここからは、インプラント治療後に起こりやすい『インプラント周囲炎』について簡単に説明していきます。
インプラントトラブル

インプラント周囲炎を予防するためにメインテナンスが必要

インプラント周囲炎とは、インプラント治療にて埋め込んだチタン製のインプラント体の周囲にプラークや細菌が蓄積し、歯ぐきや骨が炎症を起こす疾患です。
要するに、インプラント周囲炎とはインプラントの歯周病のようなものですが、天然歯と異なり、インプラント周囲の炎症は、そのまま骨に伝わってしまうので、とても深刻な炎症になります。さらに、天然歯の炎症と比べてもインプラント周囲炎は重症化しやすい傾向にあります。そのため、インプラント周囲炎を防ぐためには、ご自宅でのセルフケアとともに天然歯と同じように歯の定期検診とメインテナンスを行っていく必要があります。しかし、このあたりの説明が患者さんに理解されていないと、ついつい面倒になってしまい、メインテナンスに通わなくなってしまいます。これが最大の問題でもあります。そして、歯科医師側は、これらについて丁寧に説明をして、患者さんにご理解いただかなければなりません。

また、最悪なのが、インプラント周囲炎が進行してしまうと、折角埋入したインプラントを撤去しなくてはいけなくなってしまうことです。インプラント周囲炎が進行してしまうとそのまま感染したインプラント体を入れておくことが不可能となります。これが、先に取り上げられている『インプラント治療により危害を生じた』という相談につながります。

前のアンケート結果にもあったように、50万円、100万円という多額の治療費をかけて治療をしたにもかかわらず、インプラント周囲炎を発症し、折角入れたインプラントを撤去しなければならないとしたら最悪の事態です。しっかりとしたインフォームド・コンセント(説明と同意)が必要なのは言うまでもありません。
インプラントトラブル

インプラント治療後のトラブルを回避するために

以上のことから、インプラント治療を受ける前には、当院では、インプラントを埋める歯のみならず、お口の中の状態をしっかり審査・診断してから手術をするかしないかを判断しています。そのためには、CTスキャンやデジタルレントゲン検査、口腔内診査など、様々な検査データを駆使し、患者さんに丁寧に説明しています。また、インプラント治療をする歯のみならず、隣の歯や周囲の歯に歯周病がある場合には、すぐ手術は行わず、歯周病治療を優先して治療を行います。先に述べたように、歯周病が改善しないままにインプラント治療を行うと、インプラント周囲炎になるリスクが高まるからです。

さらに、インプラント治療後には、かならず指定された間隔でインプラント部分のメインテナンスに来ていただくよう、丁寧にご説明しています。インプラント治療で最も大切なことがインプラントの歯が装着されてからのメインテナンスと言っても過言ではありません。

当院では、日々の歯科診療で最も大切にしているのがインフォームド・コンセントです。患者さんに十分ご理解いただけるよう、丁寧にお話しておりますので、安心してご来院ください。
インプラントトラブル