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2019

12/18

【若年者のむし歯】20代〜30代のむし歯は減っていない

記事概要

80歳で20本の歯を残す、8020運動ご存知ですか?8020運動が始まってから、ちょうど30年が経過した今日、平成5年の頃は、65歳〜69歳の時点で、ご自身の歯が20本以上ある方が30%しかいませんでしたが、平成28年では70%の方が20本以上の歯を残しています。一方、20歳〜30歳代の口腔内の健康の改善が見られない事実が判明しております。高齢者のお口の健康が改善している反面、20歳〜30歳代の方々のお口の健康が改善するどころか悪化しているという現実をまとめましたので、ぜひご参考になさってください。

若年者のむし歯

80歳で20本の歯を残す、8020運動

今年も、残すところ、あと少しとなりました。2019年は『平成』から『令和』となる御代替わりがありました。令和元年となった今年は、みなさまにおかれましては、どんな年でしたでしょうか?さて、今回のコラムでは、むし歯についてのお話をしたいと思います。

皆さんは『8020運動(はちまるにいまる運動)』というのをご存知でしょうか?
8020運動は、1989年の平成元年にスタートしたお口の健康を向上するための活動です。その内容は、80歳まで20本の健康な歯を残そうという運動で、お口の健康を維持させるための最も大きな啓発運動です。

この8020運動が始まってから、ちょうど30年が経過しました。
ちょうど、平成元年から令和元年までの30年間は、口腔ケアに関する意識の高まりを見せた時代であるとも言えるでしょう。
国民の口腔意識の高まりは、ドラッグストアーなどで販売されている、歯ブラシやマウスウオッシュなど口腔ケア商品の豊富さからも感じる事ができるのではないでしょうか。

そもそも、この8020運動。
なぜ80歳までに20本の歯を残す必要があるかというと、人間は20本の健康な歯があれば、食べ物をしっかりと噛むことができ、美味しく食べることができるのです。そのため、義歯などではなくご自身の歯を20本残すことに大きな意味があります。

それでは、下記のページを御覧ください。

https://bestsmile.jp/about/about_01/

こちらは、平成5年から平成28年までの日本人の歯の残存本数のグラフです。ご自身の歯が20本残っている人がどれだけいるかについてグラフ化されています。
年齢が高くなればなるほど、残存歯を20本残している人の数は減りますが、明らかに平成5年のデータからみると、改善している事がわかります。

高齢者の口腔内環境は改善している

実は、8020運動の目標は、2022年度までに(20本の残存歯のある人を)50%までにすることが掲げられました。しかし、2016(平成28)年に発表された歯科疾患実態調査の結果によると、目標よりも5年以上も早い平成23年の時点で、20本以上の残存歯のある人の割合が50%を超えたことが明らかになっています。

これらの事から、高齢者の方々の間で、よりご自身の歯の健康意識が高まり、具体的な予防行動にでたことが読み解けます。8020運動の成果は多大にあったということが言えるでしょう。

確かに、最近では高齢者が予防歯科で、定期的に歯科医院に通う人が多く見られるようになりました。当院でも、それは感じられます。むしろ、若い年齢層の方々よりも、50歳代以上の方が通ってきてくださっているような感覚さえあります。

これは、かつての日本では、あまり無かった現象かもしれません。
平成5年の頃は、65歳〜69歳の時点で、ご自身の歯が20本以上ある方が30%しかいませんでした。しかし、平成28年では70%の方が20本以上の歯を残しています。

明らかに、高齢者の口腔内環境は改善していると考えられます。

高齢者の口腔内環境

20歳〜30歳代の口腔内は変わらない

反面、若年層のデータを見てみましょう。
高齢者の口腔内の環境が大きく改善している反面、20~30代など若い世代に関しては、あまりお口の健康の改善が見られない事がわかっています。

2016(平成28)年の厚生労働省の調査によると、むし歯がある人の割合は、25~34歳で90%以上、35~44歳では99%に上ります。

さらには、20歳〜30歳代の間で歯周病が増えているということです。
歯周病は、成人の約8割が罹患している、お口の代表的な病気と言われていますが、主に年齢が高くなればなるほど罹患率が高くなる疾患です。若い世代には無縁と思われていましたが最近では若い層で歯周病の罹患が確認されています。

厚生労働省「平成28年歯科疾患実態調査」

厚生労働省「平成28年歯科疾患実態調査」

引用:
https://bestsmile.jp/about/about_01/

歯周病は段階的に進行し徐々に重症化していく病気ですが、歯周ポケットが4mm以上が1つの目安となります。

平成28年では、歯周ポケットが4mm以上の割合は25~34歳で32.4%もいます。平成23年から比べても大きく増加傾向にあることがわかります。さらには、35~44歳では42.6%と半数近くに迫っています。こちらも平成11年から比べても増えている事がわかっています。

20歳〜30歳代の口腔内

20歳〜30歳代の方々にも歯科医院に足を運んで欲しい

上記のことから言えることは、高齢者のお口の健康が改善している反面、20歳〜30歳代の方々のお口の健康が改善するどころか悪化しているという現実です。

特に、日本歯科医師会の調査では、この年代の方々は定期的に歯科医院に通っている人が少ない年代だということがわかっています。

子どもや青年期のむし歯は減少傾向にありますが、20歳代以降の自立した後からの予防行動には、多少問題があることが浮き彫りになっているようです。

当院では、このような若い世代の年齢層の皆さんにも、定期的に歯科医院に通ってきて欲しいと心から願っています。

キッカケは、歯のホワイトニングなどでも構いません。
まずは、お口の中を定期的に歯科医師にみてもらうこと、そして、必要な治療は早めに治療し、悪化を防ぐことが重要です。

また、高齢になった時のお口の健康状態は、若い年代での口腔ケアに大きく左右されます。歯は、乳歯から永久歯へと一度生え変わったら二度と生え変わりません。また、虫歯がおおきくなり歯に栄養を送っている歯髄をとってしまうと(根管治療)歯の寿命は短くなり、破折や歯根のう胞といった病気を誘発し、抜歯に繋がるリスクが
格段にあがります。

できるだけ歯の神経の除去に至らないよう、歯周病を重症化させないよう、歯を残す努力を早い年代から行って欲しいと心から願っています。

20歳〜30歳代