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2019

10/08

【認知症予防】噛み合わせの回復が認知症の進行を遅らせる

記事概要

高齢化社会がますます加速する現代の日本で、とても気になる『認知症』。2025年には5人に1人が認知症になると推定されています。今回のコラムでは、歯の健康と認知症の関係を、最近のニュースから考えていきたいと思います。歯の健康と認知症、一見すると関係のないように思いますが、義歯(入れ歯)の噛み合わせの改善、維持することで認知症の進行を遅らせる可能性があるという事がわかりました。是非お読み下さい。

認知症予防

2025年には5人に1人が認知症

これからの日本は、どの国も経験したことのない少子高齢化時代に突入していきます。

日本全体の人口は2015年から減りはじめ、長期の人口減少過程に入りました。内閣府の『将来推計人口』の表をみると、2026年には日本の人口は1億2,000万人を下回ると予測されています。さらに、2048年には、ついに1億人を割って9,913万人。2060年には8,674万人になるのだそうです。

(参考:https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2012/zenbun/s1_1_1_02.html

ここで一つ、注目すべき点があります。
それは高齢者人口です。

高齢者人口は、団塊の世代が65歳以上になる2015年には3,395万人となりました。そして、団塊の世代が75歳以上となる2025年には3,657万人に達すると見込まれています。

もちろん、その後も高齢者人口は増加を続け、2042年にピークを迎えることとなり、その後は減少に転じると推計されていいます。

日本は、全体の人口が減り続けていくのに高齢者人口は増えていくのです。

2013年には高齢化率が25.1%になりました。これは、4人に1人が高齢者ということです。さらには、2035年には、この数字が33.4%になります。これは3人に1人が高齢者ということです。

このままでいけば、2060年には39.9%に達し、国民の約2.5人に1人が65歳以上の高齢者となる社会が到来すると推計されています。

このように、日本は空前の高齢化社会に向かっています。そして、その渦中にいる私達は、このような高齢化時代に備えていかなければなりません。

そんな中、高齢者の問題で、とても気になるのが『認知症』です。

内閣府のデータでは、2012年の時点では認知症患者数が462万人と、65歳以上の高齢者の7人に1人(有病率15.0%)でしたが、2025年には約700万人、5人に1人が認知症になると推定されています。

(参考:https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2016/html/gaiyou/s1_2_3.html

これから先も、日本における認知症にまつわる問題は大きく、国民の関心事となるのは間違い無いでしょう。

今回のコラムでは、歯の健康と認知症の関係を、最近のニュースから考えていきたいと思います。

認知症を遅らせる

義歯の調整が認知症を遅らせる

先日、興味深いニュースがありました。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/201909/CK2019091002000171.html

上記のニュースでは、義歯(入れ歯)の調整をすることで噛み合わせが改善され、それらを維持することで認知症の進行を遅らせる可能性があるという事が研究結果でわかったと報じています。

これは、歯科医師の資格をもちながら認知治療の専門医である医師が、ご自身のクリニックの患者データを分析した結果明らかになったそうです。こちらの医師は、日々、認知症患者の診療をしているそうですが、そのクリニックの患者さんが、義歯(入れ歯)の調整を行う事で認知症が進まなかったケースが取り上げられています。

そのデータ分析結果が以下の通りです。

かみ合わせと認知症の推移

(義歯やインプラントも含めて、歯がかみ合う本数が上下で11本以上20本以下の50人と、10本以下の50人に分け、認知症の進行度合いを2年間追跡)

こちらの図にある『長谷川式認知症スケール』ですが、これは認知症の重症度を図るスケールです。認知症の可能性があるかどうかを、簡易的に調べる問診項目で、医師が診察の一手段として使用します。

9問の質問項目を被験者に質問し、見当識(時間、場所、状況などの認知)や、記憶に関することを聞いていきます。正しくできたら1点、できなかったら0点。30点満点中20点以下の人は認知症の疑いが高いと判断されます。

これを踏まえて上記の図をみると、上下の噛み合わせが11本以上、20本以下の人の方が『長谷川式認知症スケール』の点数が高いことが分かります。特に、10本以下の人の平均点が急降下しています。これらのことから、正常な噛み合わせがないことは、認知症を進行させてしまうことが明らかです。

認知症のリスク

義歯を使わないことによる認知症のリスク

また、こちらのニュースには、このような事も書いてあります。

“神奈川歯科大の山本龍生准教授(当時)らが2012年に発表した研究結果では、愛知県に住む4425人の高齢者を4年間追跡したところ、歯がほとんどないのに義歯を使わない人は、20本以上歯が残っている人の1.9倍、認知症になるリスクが高かった。義歯を使わず、かめなくなることで、栄養が偏ったり、そしゃく機能が衰えたりして、脳の認知機能が低下した可能性があるという。”(引用)

つまり、歯が無くなってしまった後、義歯(入れ歯)を使わないで生活することにより、認知症のリスクを2倍まで上げてしまうということです。

義歯(入れ歯)が、なかなか合わない事により痛みや違和感を感じてしまい、ついつい義歯(入れ歯)を使わなくなってしまう高齢者の方も沢山いらっしゃいます。

しかし、義歯(入れ歯)を使わずに食事を繰り返すと、さらに顎の骨がやせてしまったり、認知症のリスクを上げてしまったりと、思わぬデメリットが生じてしまうのです。

以上の事から、高齢化社会に向けて『認知症』の予防が重要になる日本社会において、歯科の領域は非常に重要な役割を締める事が分かります。

当院では、義歯(入れ歯)が合わないなどのご相談も受け付けております。バネの見えない審美的にも良い義歯(入れ歯)などもございますので、お気軽にご相談いただければと思います。

義歯(入れ歯)が合わないからといって、そのまま放置することのないようご注意ください。

義歯(入れ歯)