2019
7/03
【お口の老化】 知らないと怖い、オーラルフレイル
『オーラルフレイル』とは口腔機能の衰えという意味の言葉です。これまで、足腰の老化や脳の老化などは、一般的によく耳にすることが多かったと思いますが、口腔内に限局した問題提起としての『オーラルフレイル』については、あまり馴染みがありませんでした。人生100年時代を迎えようとしている高齢化社会の日本において、ようやくお口の老化にもスポットライトが当たり始めています。まずは、『オーラルフレイル』というお口の老化について知っていただくため、『オーラルフレイル』の基本的な情報を発信していきます。
神奈川県は2025年に、3人に一人が高齢者に
日本の少子高齢化は加速度的に進んでおり、現在、日本の高齢化率(人口に対する老年人口*の比率)は27.8%です。(平成30年のデータ)
また、当院のある神奈川県の高齢化率は、全国平均と比べるとやや低いものの24.9%。神奈川県の全人口916万人のうち、65歳以上の老年人口は226万人に達しています。
この高齢化率は、平成12年頃を堺に急速にのびてきました。
さらには、神奈川県の試算においては、平成37年(2025年)には高齢化率が27%を超えるとされています。実に、3人に一人が高齢者の時代になっていきます。
このように、高齢化の波は日本列島全体に押し寄せ逃れることはできません。これらの実情も踏まえ、これからは人生100年時代とまで言われるようになりました。
今の時代を生きる私達は、身体の老いから避けることはできません。年齢と共に、いかに健康な状態を維持・増進できるかが、残りの人生を、いかにより良く生きるかが変わってきます。
*老年人口:65歳以上の人口
オーラルフレイルという言葉を知ろう
これらの事を踏まえ、それでは身体の高齢化という点を、お口の健康という点にしぼって書いていきたいと思います。
皆さんは、『オーラルフレイル』という言葉を耳にしたことがありますか?
『オーラル』とは口腔内の事、『フレイル』とは身体の衰えという意味で、『オーラルフレイル』とは、その言葉どおり、口腔機能の衰えという意味の言葉です。
これまで、足腰の老化や脳の老化などは、一般的によく耳にすることが多かったと思いますが、口腔内に限局した問題提起としての『オーラルフレイル』については、あまり馴染みが無いのではないでしょうか?
人生100年時代を迎えようとしている高齢化社会の日本において、ようやくお口の老化にもスポットライトが当たり始めています。
まずは、『オーラルフレイル』というお口の老化について知っていただきたいと思います。
口腔機能の低下とは
口腔機能の低下『オーラルフレイル』という症状を見極めるには、いくつかのチェックポイントがあります。以下が、『オーラルフレイル』を見逃さないチェックポイントです。
1.汁物を飲む時に、よくむせてしまう
2.食べこぼしが増えた
3.硬いものなどが上手く噛めない
4.滑舌が悪く聞き返される
5.口が渇く
このように、『オーラルフレイル』とは、若い時にはあまり気にならなかった口腔機能が徐々に低下していく症状です。
『オーラルフレイル』は、急に問題が起こり始めるのではなく、あくまでも、徐々に進行してしまう症状です。ある一定以上の年齢にある方は、このような症状が無いか、常に気にして観察していくことが必要です。/div>
『オーラルフレイル』は可逆的
特に、高齢者の『オーラルフレイル』は、むし歯や歯周病などで歯を失ってしまうと、どんどん進行していってしまいます。歯が無いことで、上手く噛めない、飲み込めないという事が続くと、食事の時間も楽しめなくなり、周りの人々との会話も少なくなってしまいます。そうなると、どんどんお口の機能を使わなくなってしまいます。
このような状況になると、心理的にも社会的にもデメリットが生じ、なかなか人と関わりたくなくなってしまい引きこもりがちになってしまいます。そうなると運動量も減り、全身の筋肉低下にもつながっていきます。こうして、徐々に身体全身の老化に拍車がかかりますので、とても注意が必要です。
ですから、できるだけ早めに察知し、早めに対処する事が必要なのです。
『オーラルフレイル』は可逆的なものであることが大きな特徴でありリハビリなどで口腔機能をアップすることで改善が見込めます。/div>
『オーラルフレイル』の予防と改善
それでは、『オーラルフレイル』になることを予防したり、『オーラルフレイル』を改善したりするためには、どうしたら良いかについてまとめていきたいと思います。
まず、お口の中の機能低下は、使わない事によって起こります。
食べることはもちろん、しゃべることなどを通じて、できるだけお口をきちんと使っていく事が大事です。
特に、食事にの際には、よく噛んでお口の機能を高める必要があります。よく噛むことは、食べ物の消化を助けるだけでなく、唾液を促し、脳の活動も助けます。また、しっかり噛むことで全身の筋肉や骨のバランスも整います。食事時に、よく噛むという行為には、様々な効果があります。
咀嚼能力があり、しっかり噛める人と噛めない人では、健康寿命が大きく異なり、しっかり噛める人の方が健康寿命が長いという調査データもあります。
それほど、『噛む』という行為には、健康を維持・増進させる役割があるという事を覚えておいてください。
また、『オーラルフレイル』を予防し、早期発見するためにも、定期的に歯科医院を受診することも必要です。
数ヶ月に一度、歯科医院にてお口の中の検診をうけましょう。
義歯(入れ歯)の調整はもちろんの事、口腔ケアなども行ってもらえますので、お口の健康に寄与します。
『オーラルフレイル』という言葉は、これまで、全身の老化ばかりに注目されていた問題が、ようやく歯や口腔機能の健康も含まれた問題として取り上げられるようになった証拠です。
お近くに高齢者がいらっしゃるご家庭の方は、ぜひ、明日から家族の口腔機能をチェックしてみてださい。そして、お気軽に歯科医院にご相談ください。/div>