土曜日診療武蔵新城の歯医者|歯周病治療・歯周外科・審美治療
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2017

5/16

【治療中、気分が悪くなったら】歯科治療中のデンタルショック

歯科治療中に気分が悪くなった経験ありませんか?

歯医者さんというものに、なんとなく漠然とした不安や恐怖感を持っている方は少なくないものです。
かつては、歯を削る治療や麻酔の注射の痛みが嫌で、『歯医者さんには行きたくない!』という方も、沢山いらっしゃったのが現実でした。
しかし最近では、麻酔の注射前に表面麻酔をしたり、極細の注射針を使いゆっくりと麻酔薬を注入する麻酔法の進歩により、歯科医院における麻酔も痛みを感じなくなりました。昔のイメージでいらっしゃる方は、あまり心配せずに歯科医院のドアを叩いてみてください。皆さんが思っている程、現在の歯科治療は痛くありません。

歯を削る治療も同じです。
歯を削る時に痛みを感じる深さの虫歯の場合は、必ず麻酔を使います。麻酔を使い削れば、ほとんど痛みはありません。過度に心配なさらずにご相談いただければと思います。

しかし、こんな風に、事前に『安心ですよ』『心配いりませんよ』と言われても、不安や恐怖の感じ方は人ぞれぞれです。ちょっとした刺激でも不安や恐怖に感じる方もいれば、あまり感じ無い方もいらっしゃいます。

ジェットコースターが得意な方と苦手な方の違いのようなものですね。

この記事を読んでいただいている皆さんの中には、歯科治療中に貧血などで気分が悪くなられた経験のある患者さんがいらっしゃるかもしれません。歯科医師が、常に細心の注意をはらっていても、時に起きてしまう事があります。これを、『偶発症』と呼びます。

下記に、歯科治療中に起きる『偶発症』についてご説明いたしますので、この機会に覚えておいていただければと思います。

歯科治療中に起きる『偶発症』

歯科治療中に起きる『偶発症』としては、以下のものがあげられます。

1. 虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)
2. 血管迷走神経反射
3. 過換気症候群
4. カテコールアミンによる過剰反応
5. 高血圧性脳症
6. アナフィラキシーショック
7. 喘息
8. 脳梗塞

なんだか、怖い病名が並んでしまいました。
歯の治療をしにきたのに、全身に及ぶ症状が出ることもある、と言われると、少し怖いかもしれません。ただ、全員に起こる症状ではないので、ご安心ください。

特に、歯科治療時における『偶発症』は、患者さんの既往歴に、あまり関係なく発症する『偶発症』と、患者さんの既往歴がキッカケで起こる『偶発症』があります。

特に前者であり、既往歴に関係なく起きる『偶発症』は血管迷走神経反射、過換気症候群、アナフィラキシーショックなどがあり、後者の、既往歴の全身疾患が歯科治療を契機として増悪しておこる症状として、高血圧や虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)、気管支喘息、糖尿病などがあります。

このブログでは、主に既往歴に関係なく起きる『偶発症』について、簡単に説明しますので、この機会に読んでいただければと思います。

血管迷走神経反射、または神経性ショック

この中で最も頻度の高いもの、覚えておいていただきたいのが、2番の血管迷走神経反射、または神経性ショックと呼ばれるものです。

これは、私たち歯科医師にとっては、実に不名誉な「デンタルショック」などと呼ばれ、患者さんの状態が異常な時にはまず疑わなければならない病態です。

症状として、顔面蒼白、冷や汗、嘔吐、周囲への無関心、血圧低下、意識消失などが起きます。

一般には、歯科治療に対する不安、恐怖心、歯科医師に対する不信などの感情が根底にあり、極度の緊張状態の上、麻酔の刺入時の疼痛が加わることなどにより迷走神経緊張状態となって発症すると言われています。

歯科治療中に、気分が悪くなってしまった人がいたら、この状態であったということが言えます。

歯科医院側でも、治療を受ける前に、『不安な事』や『心配な事』などを事前にお聞きするようにして、不安の強い方には、特に細かい説明をしながら、焦らずゆっくりと治療を進めるようにしています。

この「デンタルショック」を起こさないための予防策としては、患者さんと歯科医師との信頼関係を強め、信頼して治療を受けていただくことが最も重要です。

特に、歯科治療の過程における、様々なストレスを軽減し、痛みを少なくするための工夫をいたします。患者さんと一緒に考えながら、色々な方法で実行しながら、同時に、患者さんとの信頼関係をしっかりと確立していきます。

『この先生にだったら、安心して治療を任せられる』

そんな風に、漠然と思っていただくことで、患者さん側はリラックスして診療室に座っていられるものです。

また、血管迷走神経反射、または神経性ショックだけでなく、過換気症候群なども同じです。過換気症候群も、極度の緊張や不安などによって引き起こされる病態です。

いかにリラックスして治療を受けていただけるかが、最大の予防策となります。

一つ、歯科医院に慣れていただく方法として、検診などで歯科医院に慣れておくのもいいのではないかと思います。

歯医者さんで、治療ではなく、歯の検診および歯のクリーニングで通っていただくうちに、自然に歯科医院に慣れていくのでオススメです。